QST誌5月号のちょっと気になる記事(2) [免許・資格]
(前回からの続き)
まず、最初にバニティコールの仕組みの説明。アメリカのアマチュア無線の制度では、試験に合格すると日本と同じようにシーケンシャルにコールサインが割り当てられていく(さらに補足しておくと、日本のように従免と局免の区別はない。よって試験に合格するとコールサインがもらえる)。しかし、何がしかの手数料(現在、約13ドル)を払えば、すでに割当てられていない限りにおいて自分が希望するコールサインに変更することができる。「希望する」といっても、その範囲は免許のクラスで制限される。上級の免許を取得するほど短いコールサインヘ変更できる。エクストラ級を取得すれば「グループA」と呼ばれる1x2形式(プリフックス1文字+数字1文字+サフックス2文字)や2X1形式 (プリフックス2文字+数字1文字+サフックス1文字)といった4文字のコールサインを希望することが可能。ちなみに、FCCライセンス保持者はご存知だと思うが、アメリカにはコールサインの空き情報や、バニティコールの申請状況、そしてその結果を検索できるサイトがある。Vanity HQが有名だが、個人的にはこちらの方が好き。これは凄い。全部わかってしまう。
さて今回の件はコールサインの枯渇が根底にあるようだ。アメリカにはプリフィックス"K"、"N"、"W"、"AA-AL"が割り当てられており、日本よりはるかに割り当てが多い。コールサインが枯渇するようなことはなさそうに思えるが、1X2形式や2x1形式の4文字のコールサインは、そう多く作れない。計算すると1x2形式が約2万。2X1形式は約3万か (Aから始まる2X1形式、島嶼地域のKHやKPの関係上、計算はちょっと複雑になる)。一方エクストラ級のライセンス保有者は現在約13万人いるそうだ。よって4文字のコールサインがもらえないエクストラ級のライセンス保有者が出ることになる。W5YIのWebに記述があるが、WやKで始まる1X2形式のコールサインを取得するのは困難である。
そこでFCCが考えたのが、クラブ局へのコールサインの割当制限。私はアメリカにおけるクラブ局の設立・運営ルールの詳細は知らないが、クラブ局は複数のコールサインをもらえるのだろうか? あるいは、実質的に同一人物・団体が複数のクラブ局を設立してコールサインをいくつももらうというのもありのようだ。今回はこれを制限しようというものだ。アメリカ国内では議論になっているようで、当然、反対の人も多いのだろう。そこでARRLがこれ以外の方法についても逆提案したようだ。
さて、米国人以外のFCCライセンス保持者が気になる本題。以下ARRLのリリースを引用しながら。(source: ARRL News, dated Apr. 7,2010)
The ARRL also maintained that the Commission should require -- by affirmation on an application -- that applicants for Group A vanity call signs are United States citizens. Existing Group A calls are being assigned regularly to non-US amateur licensees, "who hold them as a matter of prestige, but might only use them occasionally; only on a single occasion; or not at all, ever. This problem is most significant in the Pacific Islands."
"ARRLは、グループAのVanity Callの申請者が米国市民であることをFCCが(申請時に確認を行うことによって)確認することを求める。現在、グループAのVanity Callは単なるプレステージのためにだけ保持し、たまに運用するだけ、あるいは結果的に使わないままの非米国人のアマチュアにも割り当てられている。"
うーん、これは確かに耳が痛い。
(続く)
まず、最初にバニティコールの仕組みの説明。アメリカのアマチュア無線の制度では、試験に合格すると日本と同じようにシーケンシャルにコールサインが割り当てられていく(さらに補足しておくと、日本のように従免と局免の区別はない。よって試験に合格するとコールサインがもらえる)。しかし、何がしかの手数料(現在、約13ドル)を払えば、すでに割当てられていない限りにおいて自分が希望するコールサインに変更することができる。「希望する」といっても、その範囲は免許のクラスで制限される。上級の免許を取得するほど短いコールサインヘ変更できる。エクストラ級を取得すれば「グループA」と呼ばれる1x2形式(プリフックス1文字+数字1文字+サフックス2文字)や2X1形式 (プリフックス2文字+数字1文字+サフックス1文字)といった4文字のコールサインを希望することが可能。ちなみに、FCCライセンス保持者はご存知だと思うが、アメリカにはコールサインの空き情報や、バニティコールの申請状況、そしてその結果を検索できるサイトがある。Vanity HQが有名だが、個人的にはこちらの方が好き。これは凄い。全部わかってしまう。
さて今回の件はコールサインの枯渇が根底にあるようだ。アメリカにはプリフィックス"K"、"N"、"W"、"AA-AL"が割り当てられており、日本よりはるかに割り当てが多い。コールサインが枯渇するようなことはなさそうに思えるが、1X2形式や2x1形式の4文字のコールサインは、そう多く作れない。計算すると1x2形式が約2万。2X1形式は約3万か (Aから始まる2X1形式、島嶼地域のKHやKPの関係上、計算はちょっと複雑になる)。一方エクストラ級のライセンス保有者は現在約13万人いるそうだ。よって4文字のコールサインがもらえないエクストラ級のライセンス保有者が出ることになる。W5YIのWebに記述があるが、WやKで始まる1X2形式のコールサインを取得するのは困難である。
そこでFCCが考えたのが、クラブ局へのコールサインの割当制限。私はアメリカにおけるクラブ局の設立・運営ルールの詳細は知らないが、クラブ局は複数のコールサインをもらえるのだろうか? あるいは、実質的に同一人物・団体が複数のクラブ局を設立してコールサインをいくつももらうというのもありのようだ。今回はこれを制限しようというものだ。アメリカ国内では議論になっているようで、当然、反対の人も多いのだろう。そこでARRLがこれ以外の方法についても逆提案したようだ。
さて、米国人以外のFCCライセンス保持者が気になる本題。以下ARRLのリリースを引用しながら。(source: ARRL News, dated Apr. 7,2010)
The ARRL also maintained that the Commission should require -- by affirmation on an application -- that applicants for Group A vanity call signs are United States citizens. Existing Group A calls are being assigned regularly to non-US amateur licensees, "who hold them as a matter of prestige, but might only use them occasionally; only on a single occasion; or not at all, ever. This problem is most significant in the Pacific Islands."
"ARRLは、グループAのVanity Callの申請者が米国市民であることをFCCが(申請時に確認を行うことによって)確認することを求める。現在、グループAのVanity Callは単なるプレステージのためにだけ保持し、たまに運用するだけ、あるいは結果的に使わないままの非米国人のアマチュアにも割り当てられている。"
うーん、これは確かに耳が痛い。
(続く)
2010-05-17 21:50
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PZEさん、初めまして。
バニティ・コール申請はこれが三回目なのですが、バニティ・コールで検索していたら貴局さんのブログがヒットしたので、ちょっと寄り道しました。
本当に、アメリカ人ってWとかQとか、Uがあまり好きじゃないみたいですね。なぜかって言うと、そればっかりAグループの2X1のコールが余っているからです。
N4MCのサイトから全部可能なコール、抜粋してみて判明したのです。
それと、外国人に割り当てられ、ステータスとしてしか、または、たまにしか使用されずに終わってしまうというのは耳が痛いですね。
来年、一月末には希望のバニティ・コールが下りればいいですが。
JH4VUC/AH0CD
杉野@呉市
by JH4VUC (2010-12-29 23:30)
JH4VUCさん、はじめまして。前の記事へのコメントだったので、気づくのが遅れました。
勝手ながらAE7Qのサイトで調べさせていただきました。随分前にFCCライセンス取得されたのですね。私なんか新参者です。第一希望のWH0Eはノーコンペだから大丈夫ではないでしょうか。
>本当に、アメリカ人ってWとかQとか、Uがあまり好きじゃないみたいですね。なぜかって言うと、そればっかりAグループの2X1のコールが余っているからです。
抽選倍率が高かったコールのサフィックスで、文字の出現頻度を分析したことがあります。Qが低いのは、正直わかるのですが、それ以外でも意外な文字が嫌われているのがわかりました(分析したファイルが行方不明)。私はCW中心なのですが、単に短いだけでなく、短点・長点がリズミカルに交互に出てくる文字が好まれているような気がします。
今後ともご愛読のほどを。
by pze (2011-01-07 23:36)