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VNAを使う(11) 同軸スイッチを測る [エンジニアリング]

今度のDUT(Device Under Test)は手元にある同軸スイッチ(第一電波製CX-210A)。アイソレーションってどの程度か知りたくなった。アイソレーションの測定なので、入力と出力側のケーブルが交差するのはご法度。なるだけ距離を取る。部屋の中に大きく広げてこんな感じ。

Coaxial_SW.jpg
なお、切り替え側のもう一方の端子は校正用の50Ωで終端した。アプリはvna/Jに戻る。
vna/Jはエクスポート機能が豊富で、グラフをJPEGで出力したり、測定結果をPDF文書、あるいはRAWデータをExcelフォーマットでエクスポートできる。せっかくなので、まずは挿入損失の測定(クリックで拡大画像)。
VNA_121119_203846.jpg
ほとんどゼロですね。優秀です。自作したMicroVert用チョークコイルの挿入損失0.1dBを「メーカー製品にひけをとらない」と以前の記事で書いたが、失礼しました。ついでにスイッチを50Ω終端した側に切り替えてSWRの測定。
VNA_121120_115333.jpg
赤線がSWR、青線がRL(反射損失)。SWRのグラフは値が小さくてわかりづらいが、RLの方は-30dB程度かそれ以下。これは測定系全体での値だから、単体ではSWRは1.1以下ということになるだろう。さてアイソレーション。
VNA_121119_203405.jpg
画像は、数回の測定の平均値をプロットしたものだが、このくらいの微小信号になると結構周囲のノイズの影響を受けるのだろう。でも、だいたいの傾向はわかる。200Mhzまでの全域で70dB以上。カタログスペック(70dB)通り。ここでは他方の端子を50Ω終端したが、開放にするとやっぱりアイソレーションは悪化するのだろうか?抵抗を外して測定。
VNA_121119_204126.jpg
VHF帯で数dB悪化しているようだ。

200Mhz以上はどうなのだろうか。VNWAにバトンタッチして1Ghzまで測定(mini VNA PROにはExtenderなるオプションがあって、これを使うと1.5Ghzまで測定できるのだが、残念ながら手元にはない)。
20121119_Coax1.jpg
430Mhz帯で約64dB。500Mhzを超えると50dB台にまで落ちてくる。もう一方の端子を開放すると
20121119_Coax2.jpg
同じく悪化する。1Ghzでは40dB近い。

カタログスペックでは200Mhz以上で60dBとあるから、まあ、数字だけ見ると500Mhzから上は守れていないということだが、VNWAも500Mhz以上はオーバーサンプリング技術を使って測定しており、精度が低下すると謳っているので、どっちが悪いのか、何ともいえない。ケーブルだって必要以上に長いし。M型コネクタの製品だから、メーカーの狙いどころはわかる。1Ghz近くでもアイソレーション50dBは立派ではないだろうか? ロスやクロストークを気にして同軸スイッチを使わない向きもあるようだが、アイソレーションは十分だし下手すればパッチケーブルでつなぎかえる方がロスがあるかも。しかし、VNAがあると同軸スイッチ一つでもいろいろ遊べる。


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