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VNAを使う(12) デュプレクサーを測る [エンジニアリング]

mini VNA PROも里帰りすることになり、このセッションもここまで。最後はデュプレクサー(第一電波製MX-62N。HF~50と144~のデュプレクサー)。もう十年以上前に買ったもので、HF機とV/U機の出力をミックスしてベランダのモービルホイップ(UHV-6)に接続している。劣化したりしていないのだろうか?まずは、一番気になる、低域側と高域側それぞれと混合側の伝達特性。

mini VNA PROにはリファレンス機能というのがあり、以前に測定した結果と現在の測定結果のグラフを重ね合わせることができる。高域側と低域側の測定結果を重ね合わせると(以下、画像クリックで拡大画像)。
Duplexer.jpg
トラッキングジェネレータ+スペアナあたりを使って得られるような測定結果が3万円台のツール+PCで得られるのだからたまらない。測定結果では80Mhzあたりでクロスオーバーしている。それぞれの帯域外のハムバンドでは減衰量が50dB以上。減衰のカーブを見るとチェビシェフフィルタですね。低域側は140Mhz前後、高域側は50Mhzあたり(正確には53Mhz。もう少し低いほうがよいのだが、経年変化か個体差か?)に減衰の極があるのが、良心的というか、うまい設計のように思える。スペック外の話だが、おそらくそのために犠牲になっているのだろう。FM放送を聞きたい向きはどうすればよいのだろうか。首都圏では東京FMの周波数にあたる80Mhzなんかは両方に出力されるようだが、高域側ではその上あたりに小さな減衰の極があったりする。続いて低域側と高域側のアイソレーション。
VNA_121121_091025.jpg
クロスオーバーしている80Mhzあたりはアイソレーションがほぼゼロ。そういえば、混合側を50Ω終端するのを忘れた。終端して再度測定。
VNA_121121_090813.jpg
カタログでは端子間アイソレーション50dBとなっているので、ハムバンドではスペック通り。50Mhzはギリギリという感じだが、144Mhzあたり(図中、マーカー3)は90dBとほぼ測定限界。高域側の伝達特性では、53Mhzあたりに減衰の極があるのだが、ここではそれが現れてこないのは何故だろう?DUTとDET側への接続を入れ換えても同じ結果だった。

最後に高域側だけだが、挿入損失とSWR。
VNA_121121_092402.jpg
挿入損失は144Mhzで0.26dBと、ここは同軸スイッチみたいにはうまくいかない。カタログでは0.3dB以下となっている。
VNA_121121_091916.jpg
赤線がSWR、青線が反射損失。マーカーは144MhzでSWR1.22を示していた。カタログスペックでは1.2。

VNWAに戻って、より高度な使い方をマスタしたら、また公開します。


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コメント 6

Kenny

はじめまして。
団塊ハムです。

最近VNWA3を入手し、色々試行錯誤しているものです。DG8SAQのマニュアルはページ数が多い上に書き方が荒っぽくて解読が大変なので、貴君のブログ記事が大変参考になります。
ところで、終端がミスマッチの同軸ケーブルのS11のスペクトラム特性から、逆フーリエ変換をしてインパルス応答を推定することが出来るようですが、ぜひそれに挑戦してみてください。
期待してます。
by Kenny (2013-01-21 22:14) 

Kenny

前のコメント、失礼しました。
もう既に試しておられましたね。2011年4月9日の記事を読み、気づきました。port extension、素晴らしい機能ですね。
by Kenny (2013-01-21 22:57) 

pze

Kennyさん、はじめまして。

VNWAは購入当初わからないことが多くて苦労しました。いまでも、多いですが・・・。

機種はともあれ、こういった安価なVNAは、もっとアマチュア無線家に使われていいと思っていますが、いまいち普及しませんね。




by pze (2013-01-22 21:18) 

Kenny

こんにちは。
そうですね。回路の自作に、こんな便利な道具はないと思いますし、価格もアマチュアの使うものとしてはべらぼうではない(アンテナアナライザより少し高い程度)なんですが、あまり普及してませんね。どうか啓蒙をよろしくお願いします。私も所属しているクラブなどで宣伝をしていますが、反応は今ひとつです。ただし私も実際に回路の特性測定に使うとき、パッシブ回路なら良いのですが、高周波アンプで測定中に発振なぞしてしまったときに、アッテネータを入れているとはいえ、VNWAの入力レベルがリミットを越えてしまわないかといつも心配しながらやってます。
ところで、TDRの測定については、VNWA_HELP.pdf文書のP.232あたりの例を見ながら試しているのですが、私にはまだやり方がよく分かりません。測定のセットアップなどについて記してあるインターネット上の資料をご存知でしたら、どうかご教示ください。
アンテナ給電部の真のインピーダンスがモニタできるようにしたいと思っています。
by Kenny (2013-01-23 22:36) 

Kenny

またお邪魔します。
TDR測定、解決しました。VNWA_HELP.pdfではなく、VNWAのヘルプを順に開いていくと、ステップバイステップで測定のためのセッティングが出来るようになっているのですね。まあまあよく出来たヘルプのようですので、前言は撤回します。先端オープンの同軸ケーブルを、アンテナにつながった同軸ケーブルを実測してみました。我が家のアンテナケーブルは、TDR測定によると電気長が19.8mと出ました。だいぶ前に上げたアンテナなので、同軸の長さは忘れましたが、そんなものだったと思います。
お騒がせしました。
by Kenny (2013-01-25 15:48) 

pze

こんにちは。
亀レスですみません。

私はHelpファイル見たことほとんどありません。見るからに読むのにパワーいりそうなので。JA1BOPさんのブログが役立ちました。TDR測定の注意点としては、スキャン周波数を高く設定しないと精度よく出ないとか(普段はHF帯中心ですので)、キャリブレーションファイルも当然それに対応してなければならないとか、実用的にはそっちの方が大事だと思ってます。VNWAはどうも、アカデミックすぎます(Hi)。

by pze (2013-01-26 16:33) 

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