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同軸ケーブルの劣化 再び [機器]

昨年10月に書いた「同軸ケーブルの劣化」は、このブログの中でもっともアクセスの多い記事の一つで、今でも毎日のようにアクセスがある。いずれ追実験をと思っていたが、先日、押入れの中から最初に開局した当時の約30年前の同軸ケーブルがでてきたのを契機に改めて経年劣化を測定してみることにした。前回はケーブルの片端を開放状態で測定したが、これだとインピーダンスゼロや無限大といった特異点がでてくるので、JA6HR田辺OMのWebを参考にさせていただき、現実的な不整合状態を人為的に作り出して劣化の程度を測定した。

対象のケーブルは以下の3本。

ケーブル1:上記約30年前の5D-2V(フジクラ製)。全長約2.1m
ケーブル2:約10年前の無線再開当時に購入した5D-FB("Nihon Tsushin Electric"とある。日本通信電線製?)。全長約6.6m
ケーブル3:昨年購入した5D-SFA(フジクラ製)。全長約3.1m

これらケーブルの片端で中心導体と編組の間に100オームの酸化金属皮膜抵抗を接続してSWR=2の状態を作り出す。このケーブルの反対側での抵抗分(R)とリアクタンス分(X)を、周波数を変えながら測定する。ケーブルはほぼ真っ直ぐな状態とする。測定器はMFJ-259Bである。

結果は画像ファイルの表のとおりである(クリックで拡大)。まずMFJ-259Bに直接100オームを接続して、ケーブル以外の部分の精度を測定しておいた(表左側)。MFJ-259Bも意外に悪くはない(失礼!)。ただ、50Mhzを超えるあたりから数字がズレ始めたので、測定は50Mhzまでとした。インピーダンス"Z"はMFJ-259Bの表示値ではなく、測定結果のRとXをもとに計算した。SWRもRとXをもとにした計算値である。また、測定周波数における各ケーブルの電気長を、波長を単位にして表に併記した(波長短縮率は、5D-2V:67%、5D-FB:80%、5D-SFA:83%とした)。

Coaxial_test.jpg
(クリックで拡大図を別ウィンドウにて表示します)

絶縁が低下するなど、ケーブルが劣化しているほどSWR=2から乖離することになる。ぱっと見、ケーブル3(昨年買った5D-SFA)の値(表右側)も悪いのには愕然とする。いろいろ考えたが、MFJ-259Bのリアクタンス分の検出感度が悪いのではないだろうか?理想状態では、インピーダンスはケーブルがλ/4の偶数倍長となる周波数で終端インピーダンスと同じ(この場合は100オーム)に、また、奇数倍長となる周波数で、ケーブルの特性インピーダンスで正規化した相対値で終端インピーダンスの逆数(よって、この場合は25オーム)になるはずである。ケーブル2と3は、ほぼその通りとなっている。この間の周波数帯でのみ、ケーブルの特性が悪くなるとは考えにくい。リアクタンスの本来の値がこれら実験結果の値より大きいと推定すれば、この2者のケーブルのSWRはほぼ全域で2ぐらいとなる。

ケーブル1(30年前のケーブル)は22~24MhzでSWR=2.8となっている。この辺りでの本来のインピーダンスはR=25オームとなるはずだが、随分低い。ケーブル3と比較しても総じて抵抗値が低めである。やはり絶縁が低下しているのだろうか?

上記の推定通りだとするとケーブル2もさほど劣化していないのだろうか? ただし、このケーブルは主に移動時に使っていたので、ずっと屋外で使用した場合ほど雨や紫外線にはさらされていない。また、ケーブル1と3はたかだか2~3m長なので、もっと長いケーブルで測定されるべきかもしれない。

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