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QST誌8月号から

アーサー・クラークの有名な小説(キューブリックの映画でも有名)「2001年宇宙の旅」の続編「2010年宇宙の旅」はプエルトリコのアレシボにある電波望遠鏡の給電部で米ソの科学者が会話するところから始まる。給電部(反射鏡の焦点)から発せられたものは反射鏡で反射し、遠く宇宙へ向かうため、盗聴の心配がないというわけである。この場合、音なので大気圏どまりだろうが。

「2001年・・・」は小説・映画の内容とその後に起こる現実との奇妙な符合がしばし言われるが、さて今年2010年、米ソならぬ米ロの科学者がこの望遠鏡の給電部で会話したかどうかは知らない。だが今年、この給電部にWのアマチュア無線家がいたことは確かなようだ。QST誌8月号の表紙は、このアレシボの電波望遠鏡である。どうやら、これを使ってEME(月面反射通信)をやったようで、その記事がある。

3年前にKDDIの旧茨城衛星通信センターのカセグレンアンテナを使ってEMEが行われた(見に行きたかったなー)。このときのアンテナは直径30m台だが、今回はこれより、1桁大きい約300m(約1000フィート)だ。トータルゲインは10dB上回るのだろうか?

ARRLのメンバになっているからQST誌は毎月届くが、正直「見ている」だけである。でも、この記事は読んだ。使用する周波数は430M帯。アンテナのゲインは61dBi、ビーム幅は月の視直径の1/3以下。受信系の等価雑音温度は約350Kだが、その多くを占めるのは月の表面温度の約210Kとのこと。G/Tは40dBKをやや下回るということでよいのだろうか? であれば、商用の静止衛星通信の地球局と遜色ない。

寄せられた報告によると、この電波望遠鏡から発せられた電波は手持ち八木、ダイポール、はたまた、(おそらくハンディ機のであろう)ラバーアンテナでも受信できたという。パイルになったが、伝播遅延が地球-月2往復分の5秒以上となるため、HFのパイルを捌くようにはうまく行かない。よってQSOレートが上がらないという、やった人でないとわからないようなウンチクも書いてある。

この記事の著者の1人はWSJTを開発したK1JT、Joe Taylorさんだ。記事中に写真がある。うん、この人がK1JTか。略歴には連星パルサーの発見でノーベル賞を受賞したとあるから、なるほど、電波天文学が専門のようだ。

50W、10(~15)エレx2ぐらいの設備なら移動でも比較的簡単に用意できる。これでEMEができないものかと思った。が、記事中にあるQSOに成功したとのレポートを見ると、明記されているもので100ワット・25エレが最小だ(モード不明)。この程度の設備だと、他は大規模局でも無理か? 一度、じっくり回線設計を考えてみたいが、何分にもこの酷暑、頭が回らない(回そうという気にならない)。等価雑音温度やG/Tって、いまいち腹落ちしない。短波帯でやっている分にはコンディションや都市雑音にばかり関心がいくが、宇宙通信では重要な概念だ。通信の世界に温度の概念が出てくるので、わからなくなってくるのだが・・・。この記事を読んでの"Brand New"は、月の表面温度を考える必要があるということだ。ということは満月と新月でノイズレベルが違うということか?



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