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ARRL Diamond DXCC Challenge [DX]

巷で話題になっている掲題のプログラム。先日届いたQST誌2月号にアナウンスが載っていたので、改めてルールを読んでみた。そして、1937年当時のエンティティ(当時は「カントリー」)と現在との対比表もダウンロードしてみた。見ているうちにこんなことやって大丈夫?と心配になってきた。

当ブログを長くお読みいただいている方には、当局は米国盲従かと思われているかもしれないが、そんなことはない(つもり)。米国の建国の理念は素晴らしいと思うが、その純真さが外に向かうとき、稚拙な対応になることがある。かつてのフランス大統領ド・ゴールは「米国は天下の大事にあたって幼稚な感情を持ち込む」と言ったそうだ。英仏のような外交百戦練磨の国からすれば危うくてしようがない。でも、幼稚なくせに図体は大きく、腕っぷしは強いからやっかいだ。

このプログラムは1937年当時のカントリーリストに基づいて1年限定のDXCCをやろうというものだ。すぐに思いつくことだが、当時の国境線は今と違う。独立したところはまだ問題ないと思うが、紛争・歴史的経緯で国境線が動いたところはどうするのか?あるいはそういった地域に住んでいる人がこのリストを見たらどう思うか? 日本人に一番わかりやすいのが、ドイツ、ポーランド、旧ソ連だろう。当時のドイツ領は今より東に延び、ポーランド領はその分旧ソ連領に延びている。厳密に言えば、そういった地域の局と交信した場合、どこに計上するのか? そう思いながらリストを見ていると、さすがにアメリカ人(あるいはARRLというべきか)もそこまでバカじゃないのか、あるいはバカなことをやってつじつまが合わなくなったためにそう書いているのか、最後にとってつけたような脚注が載っている。「当時の形態に完全にマッチさせるものではない。リラックスしてやりましょう」と。なるほど、でもモロッコの境界に関する、このこだわりは何なのだろうか? さらに1月3日時点ですでにいろいろアップデートされている。 ARRLが気づいたのか、それとも、他国のハム・連盟からクレームが来たのか? いずれにせよ事前の考慮不足じゃないの? こういうところがド・ゴールのいう幼稚さだ。DXCC75周年だからという理由だけで、あるいは人の神経を逆なでするかもしれないことをやる。満州についても、中国が文句を言いそうだ。「そんなもの認めていない」と。いや、もう言っているかもしれない。確かに当時の国際連盟は満州国の存在を認めていない。中国の連盟はBY2の局に指示しているかもしれない。「今年一年、JAとは交信するな」と。考えすぎか?

いくつかの地域はどこにもカウントアップされないかもしれないと書いてある。冒頭、すぐわかるのは南極。まあ、当時は恒常的に人はすんでいないだろうからこれは問題ないと思うが、見ていて感じるのは、このリストがまだ不完全なのか、それともここに書かれていないものはノーカウントなのだろうか?たまたま、気づいたのがHV(バチカン)。このリストにないが、その地位が確立されたのは1929年のようだ。イタリアか?それともノーカウントだろか? 身近なところでは、JD1はどうなのか。これもリストにない。日本人ならJAにカウントアップだろうと判断すると思うが、ヨーロッパの局はわからないのでは?対比表というからには、きちんと書いてあげなければダメなんじゃないの、ARRLさん。あるいはJD1と交信するくらいなら、その前にJAと交信してしまうから実用上問題ないという判断のイージーなリストか?

もうそんなことは考えずにARRLがおっしゃるとおり、リラックスしてやればいいのだろうか?賞状のデザインは気にいった。申請料は13ドルとのことで、高くはない。できれば欲しい。現在、Wkd16。1年で100カントリー行くかな?総カントリー数が今より少ないのは不利だが(なかんずくUゾーンで稼げないのが痛い。)、P29・YJはダブルカウントできる、YBはエリアによっていくつかのカントリーに分かれているといった若干有利になるところもある。でも、これ、インドネシアの人、特に一般の人が見るとどう思うのだろうか。Uゾーンといえば、ちょうど気づいたが、バルト3国は併合前らしい。こういったところもバルト3国のハムはどう感じるのだろうか。よしっ、アクティブに運用しようと思うのだろうか?自国の辛い歴史を思い出すのではないだろうか。やっぱり、気になる。表の左右を比べると何も変わっていないが、この縦線一本に凝縮され、表からはわからない併合の歴史をアメリカ人はわかっているのか?


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コメント 2

JF1TEU

まったく同感です。私もルールを読んだときに感じました。思いつきとしては面白く、DXingも盛り上がるかもしれませんが、ちょっと大雑把ですね。
by JF1TEU (2012-01-22 16:01) 

pze

こんにちは。あらまっ、読まれていましたか。光栄の限りです。

多くの局が、今年のDXの目標にこれを上げている中で、一人、異端な意見をはいて内心不安だったのですが、同じ考えを持つ方が近くにいて安心しました。

国の歴史が浅く、本土が外国との戦争で戦場になったことがないので、個々のアメリカ人をどうこういうつもりもありませんが、いずれにせよ、この辺の認識が甘いですね。


by pze (2012-01-22 21:12) 

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