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1/2λノンラジアルバーチカル ふたたび [アンテナ]

最近、「1/2λバーチカル」といったワードでのこのブログへのアクセスが目立つ。おそらくJARL NEWSの秋号で「低打上角」「アースの影響低減」といった特徴で紹介されているからであろう。昨秋以来、自分なりにもトライして、ようやく実用になるものができた。途中、いくつか記事を書いてきたが、改めてご紹介。
給電部は2005年のハムフェアに際してJAIAが発表した資料にあるものだ。最初、別形式で14M帯用を作るつもりで始めたら難儀し、今の回路形式で18M帯用になってしまった。改めて14M帯用を作ったが、今度は即完成。これで落ち着いた(いや、本当はまだ落ち着いていない。後述)。買うと高いということもあるが、メーカー製品に背を向けて自作したら、メーカー資料の形になる。やっぱりメーカーとはすごいものだ。L型ネットワークを使ってインピーダンス変換し、1/2λのエレメントの片端にハイインピーダンスで給電する。コンデンサは衛星放送用のS-4C-FBを使った同軸コンデンサを用いている。
EFHWA_matching_cct.jpg
製作したノンラジアルバーチカルの給電部。上が18M帯、下が14M帯用。右に伸びるのは同軸コンデンサ。左右ともM型コネクタが付いているが、右がリグ側。左側は芯線部にアンテナエレメントを接続する。アンテナエレメントの接続にM型コネクタを用いているのは、エレメントを他形式のアンテナでも共用するためで、それ以上の他意はない。なお、内部(写真右側、パイプのキャップ内側)に廻り込み防止用のフィルタ(FT-114#43の2段重ねに1.5D-HQ Superを14~15回巻き)を忍ばせてある。

■回路図
EFHWA_Scheme.jpg

LとCを逆にしても動作すると思うが、アンテナエレメントを直流接地とするために、Lをアンテナに対して並列に入れてある。解析すると、ωL=1/(ωC)、かつωLがZinに比べ十分大きければ、ZoutxZin≒ωL/(ωC)となるようだ。ωL=1/(ωC)は目的周波数で共振状態となるようにして追い込んだ。S-4C-FBの線間容量は53pf/mなので、これと同軸コンデンサとして動作する部分の長さから逆算するとωL、1/(ωC)は14M帯用で約570Ω、18M帯用で約490Ωとなっている。よってZoutは計算上、14M帯用で約6.5KΩ、18M帯用で約4.8KΩとなるようだ。以前、18M帯用の給電部のアンテナ側に5.1KΩの金酸抵抗をつないでSWRを測定したら、見事SWR≒1となったのでほぼ理論値通りの動作だ。18M帯用はωL、1/(ωC)をもう少し高くしても良いかもしれない。コイルのインダクタンスであるが、空芯ソレノイドのインダクタンスの計算式(長岡係数を考慮)から求まる理論値より2割ぐらい大きくなっている。ビニール被覆線を用い、また塩ビ管を芯に使っているため、空芯でないからだろう(としかいえない)。ωL=1/(ωC)に調整する際のSWRアナライザの針の動きからして14M帯ではアンテナの帯域幅がバンド幅に比べ、狭いのではないかと思った。Excelシートを用い、周波数の変化に対してZoutがどのように変化するか調べたが、R成分は14M帯バンド内ではせいぜい10%も変化しない(リアクタンス成分は+/-20%ぐらい動く)。アマチュア用としては気にする必要はないようだ。実際、SWRは思ったよりブロードだ。当初、14M帯用はCWとPhone用に同軸コンデンサを2本用意することも考えたが、やめた。

電圧給電とはいえ、給電点インピーダンスは上述の通り無限大ではない。5KΩで50W入力だと給電点での電流は100mAとなり小さくはない。リターン電流がどうなっているのか気になっており、今後の運用で確認したいと思っている。今はストレーキャパシティを介して戻っているのだろうが、コイルのアース側に短いリード線を取り付けるといいかも知れない。

KH0やKH2(あるいは、太平洋の他の島でもいいのだが)のホテルで、グラスファイバーポールと組み合わせて使う機会があればと思っている。海辺でやれば飛ぶだろうな・・・。耐電力であるが、問題となるのが同軸コンデンサの耐圧だろう。同軸ケーブルのスペックを見ると耐圧はAC1,000Vとある。出力インピーダンスを6.5KΩとすると200W入力でコンデンサに加わる電圧が約1,140V。しかし耐圧AC1,000Vというのは連続1分間印加、そしておそらく実効値だろうから、SSBなら500WPEPでも大丈夫だろうか? もっとも給電部に忍ばせたフィルタがもたないと思う。SSB200W/CW100Wがいいところか。なお、調べてわかったのだが、8Dや7Cのような太いケーブルでも耐圧が高くなるわけでない。また、この給電部、防水処理がなされていないので、このままでは熱帯のスコールに対して無防備である。その時はPETボトルでも被せますか。と、計画もないのに夢想にふけっている・・・。

と、ここまで書いて終わりにしたかった。先日、14M帯用でEA6とQSOできた。同時に呼んでいた他のJA局は拾ってもらえなかった。所詮シングルエレメントのワイヤアンテナである。十分じゃないかとも思ってしまうが、1年もやっているとそれなりに学んでしまうし、これを書いているうちに気づいた欠点もある。まず、上にも書いてあるが、給電点インピーダンスをもう少し高くしてもよいかと思っている。そのほうが放射効率が高まるだろうと考えている。耐圧は当然考えなければならない。そして材料。給電部のコイルボビンは水道のVP管。ワイヤもPVC被覆線。いずれも塩化ビニール。塩ビは高周波特性があまりよくないことは知りつつも便利・安価なので使ったが、「あまり」どころではないようだ。要するにこのアンテナは給電部からして高周波特性の悪い部材でかためられているということだ。どのくらいが誘電体損として熱になっているだろうか。耐圧の計算も気になる。上の考えでよいのだろうか?皮相電力はもっと大きいのでは? これを見て作られる方に迷惑かけるといけないので製作データは記載しないことにした。ただ、作り方のハウツーは習得したので新しい材料で全面的に作りかえようと思っている。電線メーカー、線材店のWebを見て研究中。

2011/08/04追記
廻り込み防止用のフィルタだが、その後、コモンモードでのインピーダンスをVNAで測定したところ、約6Mhzから上の周波数帯ではコイルではなく、コンデンサとして動作していた。「トロイダルコア活用百科」にも書いてあるが、密巻のため、線間容量がかなり効いているようだ。今は巻き数を7回に減らしてある。コモンモードのインピダンスは14M~18M帯で約1Kオーム。これにより、給電部の共振周波数も若干変わり再調整した。



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